HOME / COLUMN / ホームページ制作費の相場と内訳|見積書のどこを見るべきか

ホームページ制作費の相場と内訳|見積書のどこを見るべきか

「ホームページはいくらでできますか」

制作会社が最も答えにくい質問です。同じ「10ページのコーポレートサイト」でも、30万円の見積もりと300万円の見積もりが並ぶことがあります。10倍の差です。

この差は、ぼったくりでも良心価格でもなく、見積もりに含まれている作業範囲が違うことから生まれます。この記事では、費用が何で構成されているのかを分解し、見積書のどこを見れば比較できるのかを整理します。

制作費は「作業の量」ではなく「決める量」で決まる

まず前提として、Webサイトの制作費の大半は人件費です。材料費はほぼありません。つまり誰かが何時間考えたかが金額になります。

そして時間の大半を消費するのは、実は手を動かす工程ではありません。

  • 誰に向けたサイトなのかを定義する
  • どんな順番で何を伝えるかを決める
  • 原稿に書く言葉を決める
  • 何をもって成功とするかを決める

この「決める」工程を制作会社がどこまで引き受けるかで、金額は何倍にも変わります。原稿も構成も発注側が用意し、デザインと実装だけを頼むなら安くなる。何を書くかから一緒に考えるなら高くなる。当たり前のことですが、見積書の上ではこの違いが見えにくいのです。

費用の内訳

1. ディレクション・設計費(全体の20〜30%)

要件整理、サイト構成の設計、スケジュール管理、打ち合わせ。目に見える成果物が少ないため削られやすい項目ですが、ここを削ると後工程で手戻りが増えます。

見積書に「ディレクション費」が一行もない場合は要注意です。無料でやってくれているのではなく、その工程が存在しない可能性があります。

2. デザイン費(全体の25〜35%)

トップページのデザインと、下層ページのパターン作成。ここは「トップ1ページ+下層3パターン」のように、作るデザインの枚数で見積もられます。全ページを個別にデザインすると高くなり、パターンを使い回すと安くなります。どちらが良いという話ではなく、サイトの性質次第です。

3. 実装・構築費(全体の25〜35%)

デザインをブラウザで動く形にする作業と、WordPress などの管理画面を組む作業。ここでの分岐点は「あとから自分で更新できる範囲をどこまで作るか」です。全ページを管理画面から編集できるようにすると構築費は上がりますが、公開後の更新費が下がります。逆に更新しないページまで編集可能にしても無駄になります。

4. 原稿・写真(全体の10〜30%、外注の場合)

ライティングと撮影。ここは発注側で用意するか、制作会社に頼むかで大きく変わります。

原稿を自社で用意する前提の見積もりは安く見えます。ただし実際に書き始めると想像以上に大変で、結局スケジュールが遅れる。これは非常によくあるパターンです。社内に書ける人がいるか、正直に見積もっておいてください。

5. 保守・運用費(月額)

サーバー、ドメイン、WordPress とプラグインの更新、バックアップ、障害対応。月額5,000円〜3万円程度が多い帯です。「保守費なし」の見積もりは安く見えますが、WordPress は放置するとセキュリティ上のリスクになります。誰が更新するのかは必ず確認してください。

規模別の目安

あくまで一般的なレンジです。要件次第で上下します。

種類 目安 含まれる主な内容
ランディングページ(1枚) 30〜80万円 構成設計、デザイン、実装。原稿は別途のことが多い
小規模コーポレート(5〜10ページ) 60〜150万円 設計、デザイン、WordPress構築
中規模コーポレート(15〜30ページ) 150〜400万円 上記+情報設計、原稿制作、撮影
採用サイト 80〜250万円 社員インタビューの取材・撮影を含むと上振れ
ECサイト 100万円〜 商品数、決済、在庫連携で大きく変動

この表より安い見積もりが必ず悪いわけではありません。テンプレートを使う、原稿は支給、打ち合わせは1回だけ、といった条件が明示されていれば合理的です。問題なのは、条件が書かれていないまま安い場合です。

見積書で確認すべき5つのこと

複数社の見積もりを比較するとき、金額の総額だけを見ても判断できません。次の5点を揃えて比べてください。

1. ページ数の数え方

「10ページ」の定義が会社によって違います。トップページを1と数えるか3と数えるか、下層ページのパターンを何種類作るか。「デザインを何枚作りますか」と聞くのが確実です。

2. 原稿と写真は誰が用意するか

見積書に「原稿は貴社にてご用意」と書かれていれば、その分の工数は入っていません。自社で書けるかを先に確認してください。

3. 修正は何回まで含まれているか

「デザイン修正2回まで」のように書かれていることが多い項目です。書かれていない場合は必ず確認を。無制限とうたっている場合も、実際には範囲の定義があります。

4. 公開後に自分で何ができるか

お知らせの投稿はできるのか。実績の追加は。トップページの画像差し替えは。ここが曖昧だと、公開後に毎回制作会社へ依頼することになり、都度費用が発生します。

5. サイトの所有権とデータの扱い

ドメインとサーバーの契約名義、制作データの引き渡し、将来他社に移管する場合の条件。契約前に確認しておくべき最重要項目です。ここを曖昧にしたまま進めると、数年後にサイトを動かせなくなります。

安さの理由を確認する

見積もりが極端に安い場合、たいてい理由があります。理由自体は正当なこともあるので、確認するだけです。

  • テンプレートを使う:問題ないケースも多い。ただし他社と同じ見た目になる可能性は理解しておく
  • 打ち合わせが1回だけ:要件が固まっている案件なら合理的
  • 原稿・写真が全部支給前提:自社で用意できるなら問題なし
  • 月額の縛りがある:初期費用は安いが、5年契約で総額は高くなる形。総支払額で比較する
  • 担当者が一人で全部やる:小規模案件では効率的。ただし属人化のリスクがある

逆に高い見積もりも、理由を聞いてください。調査やインタビューが含まれている、独自のシステムを組む、といった理由があるなら妥当です。

予算が足りないときの削り方

予算に上限がある場合、削る順番にはセオリーがあります。

削ってよいもの

  • ページ数(あとから追加できる)
  • 凝ったアニメーション(成果への寄与が小さい)
  • 全ページの個別デザイン(パターン化で対応)
  • 撮影(当面は既存写真を使い、次年度に)

削らないほうがよいもの

  • 設計・ディレクション(ここを削ると全部が崩れる)
  • スマートフォン対応(今はここが主戦場)
  • 原稿の質(読まれない文章は何ページあっても意味がない)
  • 公開後の更新手段(更新できないサイトは1年で古くなる)

「まず小さく作って、成果を見ながら足していく」という進め方は、多くの場合うまくいきます。最初から完成形を目指して予算を使い切るより、公開後に使える予算を残しておくほうが結果的に成果につながります。

TEHON の活用

制作費の話は、最終的に「どこまでこだわるか」の話です。TEHON では掲載サイトを構成や演出の軸で分類しているので、どこにコストがかかっているかを見分ける練習に使えます。

たとえば、スクロールに連動した凝った演出があるサイトと、静的なカード並びのサイトでは、実装工数がまったく違います。参考デザインギャラリーで見比べながら、自社に必要な水準を判断してください。

まとめ

  • 制作費は作業量ではなく「決める量」で決まる
  • 見積書は総額でなく、ページ数の定義・原稿の担当・修正回数・更新範囲・所有権の5点で比較する
  • 極端に安い見積もりは理由を確認する。理由が正当なら問題ない
  • 削るなら、設計と原稿以外から削る
  • 公開後に使う予算を残しておく

金額の妥当性は、他社と比べても分かりません。自社が何を頼んでいるのかが分かって初めて、比較ができます。


マザーハンズでは、広島・東京を拠点にWebサイトの制作とマーケティング支援を行っています。予算と要件のすり合わせからご相談いただけます。お問い合わせよりお気軽にどうぞ。

← コラム一覧へ戻る