Webサイトの打ち合わせで「御社のブランドカラーは何色ですか」とお聞きすると、半分近くの会社から「特に決まっていません」という答えが返ってきます。
ロゴはある。名刺もある。でも「この色が自社の色です」と言い切れるものがない。実はこれは珍しいことではありません。多くの中小企業は、必要に迫られてその都度色を選んできた結果、社内に色が散らばっている状態にあります。
まず、本当に「ない」のかを確認する
決めに行く前に、すでにあるものを探します。意外と見落とされています。
- ロゴ(AI や PDF のデータがあれば色数値が入っています)
- 名刺
- 会社案内・パンフレット
- 看板、社用車、作業着、のぼり
- 過去のチラシやDM
このうち複数に共通して出てくる色があれば、それが事実上のブランドカラーです。決まっていないのではなく、明文化されていないだけ、というケースは非常に多い。
特に見落とされるのが看板と作業着です。地域密着のビジネスでは、お客様が最も多く目にしているのが看板や車の色だったりします。Webサイトだけ別の色にすると、同じ会社だと認識されません。
「ない」場合の決め方
本当に何もない場合は、色から選ばずに言葉から入ります。
手順1:与えたい印象を2つ選ぶ
| 軸 | 一方 | もう一方 |
|---|---|---|
| 温度 | 温かい・親しみ | 涼しい・清潔 |
| 重さ | 落ち着き・堅実 | 軽やか・気軽 |
| 年代 | 伝統・実績 | 新しい・先進的 |
| 距離 | 身近・相談しやすい | 専門的・格式 |
2つに絞るのがポイントです。4つ全部選ぶと方向が決まりません。
手順2:業種の相場を確認する
選んだ言葉と、業種の一般的な傾向を突き合わせます。医療なら寒色、飲食なら暖色、士業なら暗い寒色、というのが相場です。言葉と相場が一致すれば、そのまま進めて問題ありません。ずれる場合は、なぜずれるのかを説明できるかを確認します。「歯科だが小児中心なので暖色にしたい」なら合理的です。
手順3:候補を3つに絞り、面積を変えて見る
候補が出たら、必ず実際のデザイン案の中で見比べます。色見本の四角を並べても判断できません。同じ色でも、背景に敷くのか、ボタンだけに使うのかで印象が変わります。「この色にするか」ではなく「この色をどれくらいの面積で使うか」で比較してください。
手順4:使えない色を除外する
- 淡すぎる色:白背景で文字が読めない。ボタンに使えない
- 蛍光色に近い色:長時間見ると疲れる。画面によって発色が大きく変わる
- 同業大手と同じ色:印象が被り、記憶に残らない
- 赤に近い緑、緑に近い赤の組み合わせ:色覚特性のある方に区別しづらい
決めたあとにやること
色を1つ決めて終わりにすると、数か月後にまた散らばります。最低限、次の形で残してください。
カラーコードを文書化する
メインカラー #1A3A6B サブカラー #E8EDF3 アクセントカラー #E06C3A テキスト #222222
6桁のカラーコードで書き残しておけば、誰が作っても同じ色になります。「濃い青」では再現できません。
使う場所のルールを1行で決める
- メインカラー:見出し、ヘッダー、強調したい面
- アクセントカラー:ボタンのみ。それ以外には使わない
このルールがあるだけで、後から誰かがページを追加しても崩れません。
印刷物用の値も一緒に決めておく
Web と印刷では色の表現方式が違います。名刺やチラシを作るときに毎回選び直すと、微妙に違う色が増えていきます。Web用のカラーコードを決めるときに、印刷用の近似値も併記しておくと、後々楽になります。
よくある質問
Q. ロゴの色をそのままサイトの背景に使ってよいか
多くの場合、そのままだと濃すぎたり派手すぎたりします。ロゴは小さく使われる前提で作られているためです。背景に使うなら、同系色で明度を上げた色を用意するのが一般的です。
Q. コーポレートカラーが複数ある場合は
Webサイトでは1色をメインに決め、残りは補助として使います。3色を対等に扱うと、どれも印象に残りません。
Q. 社長の好きな色にしてよいか
判断材料のひとつとしては有効です。ただし「社長が好きだから」を理由にすると、後任者が変えたくなったときに根拠がなくなります。選んだ理由を「誰にどう見られたいか」の言葉で残しておくと、色が長持ちします。
TEHON での探し方
TEHON では掲載サイトを配色の軸で分類しています。候補を絞る段階では、次のように使うのが有効です。
- 自社と同じ業種で絞り、どんな色が多いかを見る(=相場)
- 手順1で選んだ印象の言葉に近いトーンで絞り、実例を見る
- 気になった色が、実際のサイトでどれくらいの面積で使われているかを確認する
色見本ではなく、実際に運用されているサイトの中でその色を見る。これが最も判断しやすい方法です。参考デザインギャラリーからご覧ください。
まとめ
- 「ない」と思っても、看板・作業着・名刺に事実上の色があることが多い
- 本当にない場合は、色ではなく「与えたい印象」を2つ選ぶところから
- 候補は必ず、実際のデザインの中で面積つきで比較する
- 決めたらカラーコードと使用ルールを文書化する
- 選んだ理由を言葉で残すと、色が長持ちする
ブランドカラーを決めるのは、デザインの作業ではなく経営の意思表示です。時間をかける価値があります。
マザーハンズでは、広島・東京を拠点にWebサイトのデザインとブランディング支援を行っています。お問い合わせよりご相談ください。